森林動態制御研(國崎研)

2024年度から勤務28年目です。

2023年11月16日(木)

  • 最近,倫理学の本を読み進めていくと,

 特に公衆衛生に関する倫理とのアナロジーから,(保守主義を重視する)「私のこれまでの教育感は時代と大きくずれている」ことを仮定した「方法論」の採用が有効と思われる(註:保守主義がずれていると言っている訳ではない)。
 
 そもそも,18歳以上の成人である学生さんに「大学とは,きっかけを与えてもらったら,後は自分で自分を育てる癖をつける場」と伝えてきたのだから,お節介というパターナリズムをもっと早くから慎むべきであった。
 
 ここで保守主義的に改善するならば,リバタリアン・パターナリズムの導入は選択肢の一つであるかもしれない。ただ,教員に質問する権利を重視しない多くの学生さんに対して,私が思いつくリバタリアン・パターナリズムな対策を導入しても,ニーズは低いだけであろう。
 
 とすれば,ロールズの正義論をモデルに,大学内で学生さん,教員ができるだけ自由に学べる状況(その人が学ぶ範囲で学ぶという自由)を相互に重視しつつ,教員としては学生さんに対し機会の平等を担保することで,結果の不平等を容認するのが現実的方法論であると想定する。そうすれば,知識に関する格差原理として,知識が著しく不足する学生さんに知識の一部を再分配する仕組みを導入可能である。私としては,このくらいに抑制した格差原理の実行にとどめるべきで,決して責任やケアといった視点を採用すべきではなかろう。
 
 持続可能な教育活動に変化すべく,これから数年間については方法論的正義論を試行していきたい。