森林動態制御研(國崎研)

勤務25年目になりました。

2021年6月13日(日)

  • 今週には,
  1. 月曜:午前打ち合わせ,午後会議
  2. 火曜:午前授業二つ,午後会議
  3. 水曜:午前面談と会合,午後授業1つ
  4. 木曜:午前授業1つ
  5. 金曜:午前授業1つ

 なので,調査に行くことはできなさそう。粛々と対応したい。

2021年6月7日(月)

  • 本日の勤務は6:25-16:00。

 教育活動と大学運営活動に勤しむ。
 
 その後,10:40過ぎに大学を出発し,演習林へ。11時過ぎから15時まで森林調査に勤しむ。前回,オオスズメバチにたくさん遭遇したので,本日には防虫ネットを被り,利き手に殺虫剤(蜂用でない,ニワトリさんのマークでお馴染みのやつ)を持って調査する(註:ピンポイントで狙うよりも,遭遇時に煙幕のように撒くため)。防虫ネットのおかげで顔に虫が寄って来れないので,なかなか快適である。また,炎天下での調査ながら,ネットのおかげで日焼けもほどほどで済んだ(ものの,次回には日焼け止めを塗るべし)。と言いつつも,本日もオオスズメバチ1匹に遭遇したため,調査地内または近隣に巣があると考えておいた方が良いだろう。

2021年6月3日(木)

  • 本日の勤務は6:45-16:10。

 森林計測学実習の履修者が登録されていたので,現時点での予定をLMSに書き込む。その後,来週の海外・日本の林業の授業担当者に連絡メールを送った後,明日の基礎数学入門の授業を予習。9:00から10:25まで学内会議に出席。
 
 大学演習林に移動し,11:00から14:50まで森林調査に勤しむ。予定よりも一ヶ月遅れての今シーズン二回目である。予想気温27度のため,日陰の少ない調査地で暑く感じるのは予想していたものの,予想以上だったのがオオスズメバチとの接近である。1m以内の距離に延べ4回接近され,足元が見えにくい雑草木群落の中で非常に緊張する。という訳で,調査と言いつつ,殺虫剤を利き手に持ちながらの移動が基本となる。
 
 研究室に戻り,調査の後処理をし,メール確認した上で大学を撤退する。休憩中に手袋の上をダニが這っていたので,早めに帰宅してシャワーを浴びるためである。

2021年5月21日(金)

  • 本日は

 久しぶりの自家用車出勤。勤務時間は6:35-17:50。
 
 諸般の事情により授業を休講とし,学生面談を延期したため,本日には学内委員会業務,カリキュラム運営業務,請け負ったデータ解析と文献確認に勤しむ。
 

  • 帰宅後に,

 今一度確認したデータセットを用いて解析を一からやり直す。ふむ。興味深い結果が得られたと思う。週末にデータ解析報告書を作成する予定。

2021年5月10日(月)

  • 本日は

 家事対応のために年休を取得。家族の送り迎えと愛犬たちのお世話をする。
 
 メールを確認すると,投稿していた短報の査読結果が届いていた。迅速かつ丁寧な査読で大変ありがたい。一通り確認したところ,おそらく,すべて「修正」もしくは「修正しない理由を回答」できる指摘だと思われるので,丁寧に対応していきたい。

2021年4月27日(火)

  • 今シーズン最初の

 森林踏査に出かける。体力も不十分だし,まだ各所への反応も悪いものの,転倒や打撲もなく,ひとまず無事に作業終了。
 
 次回は5月連休明けの予定であり,それまで体力強化に勤しみたい。

2021年4月21日(水)

  • 先週から授業も始まり,

 順に,基礎数学入門,海外・日本の林業,森林計測学,森林科学応用演習IIに参加する。今週来週には分担で森林科学入門と基礎ゼミナールに参加する予定。
 
 スギ林ネタその3について文章書きを開始。

2021年4月10日(土)

  • 3月中旬に書き上げたつもりの

 スギ林ネタその1(老齢林の成長経過)にかかり,共著者からコメントをもらう。これで,より良い原稿になるだろう。来週中には投稿したい。
 
 また,余計なデータ(林縁木データ)を削除して書き直したスギ林ネタその2(形状比と樹冠長の経年変化)にかかり,現在文章表現の微修正中であること,以前送った原稿を廃棄してもらいたいことを共著者にお伝えする。こちらについては,GW明けの投稿を目指す。
 
 スギ林ネタその3(樹冠長と成長の対応関係)については,ひきつづき「4」という値の解釈を進めたい。

2021年3月31日(水)

  • 本日はノロノロジョグ+徒歩通勤。

 4.3kmを31分。暖かくなってきた。
 

  • 本日の勤務は7:25-17:20。
  1. 教育:なし
  2. 研究:スギ林ネタその2にかかる追加統計解析,スギ林ネタその3の段取り(散布図作成)
  3. 運営:なし
  4. 貢献:なし
  5. 雑用:書類細断

 
 年度末なので,古くなった学内会議資料(機密性の高いもの)や3年以上前に卒業した学生さん達の答案用紙などを細断する。
 
 その合間に原稿を読み直していると,ふと気になったことが。再測データであり,図から増減が一目瞭然と誤解していたので,増減傾向について統計解析をしていなかった。このうち,データ数の関係で何とか統計解析できる部分については,あれこれ考えた上でシンプルな統計解析(無相関の検定と,Holm法で補正した対応のあるt検定)を適用する。一方で,図から単純に判断できること(どちらの値が高いか低いかという算数に基づく目視比較)については引き続き統計解析を追加しないこととする(註:この部分については,目視がベストだと思うので,共著者から,あるいは審査で指摘されたら対応を検討する)。
 
 スギ林ネタその3について散布図を作成してみると,なかなか単純明快であった。この方針でまとめられるかどうか,共著者からの追加データを待つこととする。

日記の整理

  • 今後に参照したい日記

 のみ残して,日頃の備忘録をすべて削除する。
 
 次年度も,淡々と備忘録をつけた後,参照したい日記のみ残す予定。

積読増量

  • 11月下旬に購入した

 「統計学を哲学する」が興味深く、おかげで開店休業中だったソーバーの「科学と証拠」、クタッチの「因果性」も無事(理解できたと完全誤解しつつ)読み終えられた。
 
 このままの勢いで年末年始に突入すべく、「科学哲学からのメッセージ」を購入。合わせて積読の「RとStanではじめるベイズ統計モデリングによるデータ分析入門」、新規購入した「データ解釈学」も一気に読了したい。
 
 その他、息抜き用として「データ分析人材になる。」、「コロナ後の教育へ」、「木本植物の生理生態」、「EBPMとは何か」も楽しみたい。

巻き枯らし間伐林の成長経過

  • 2005年の12月、

 研究室4年生4名に手伝ってもらい、スギ無間伐若齢林にて、ナタを使った環状剥皮(以下、巻き枯らし間伐)をおこなった。断面積間伐率は31%である。その後、どの処理木がいつ枯れたのかを記録するとともに、処理木・無処理木の胸高直径を毎年測定し続けてきた(註:処理木については枯死を確認して以降、測定対象外)。
 
 スギ無間伐林ゆえに、(測定開始した1997年以降)閉鎖林冠形成期、中密、高密と混み合い度が強まるとともに胸高直径連年成長量の平均値が徐々に低下していった。その一方で、(胸高直径連年成長量が0.1 cm以下の)劣勢木割合は高密期に入ってから急増するという、非常にわかりやすい成長経過をたどっていた。このタイミングで巻き枯らし間伐は実施された。
 

  • 結果の概要は以下のとおり。

 巻き枯らし間伐後2年目から枯死木が発生し続け、過密期への移行は先送りされた。具体的には、枯死木が発生していない巻き枯らし間伐後1年目の相対幹距を6年間上回り続けた。混み合い度の進行を停滞させる効果は6年程度であった。
 
 一方、「間伐により胸高直径成長が促進される」という、いわゆる間伐効果については、巻き枯らし間伐後3〜5年目の3年間しか認められなかった。具体的には、枯死木が発生し始めた巻き枯らし間伐後2年目には間伐効果は認められず、巻き枯らし間伐後3〜5年目に(巻き枯らし間伐後2年目に比べて)「胸高直径連年成長量の平均値」と「胸高直径連年成長量の最大値」が増加し、「劣勢木割合」が低下した。しかし、(混み合い度が巻き枯らし間伐後1年目より緩和されていたはずの)巻き枯らし間伐後6年目には胸高直径連年成長量の平均値と最大値が低下し、劣勢木割合が17ポイント急増した。
 
 その後、追加の巻き枯らし間伐(や通常の間伐)はなされなかった。このため、混み合い度の進行を停滞させる効果が認められなくなった2013年以降、相対幹距は低下し続け、2016年からは「枯死木発生が顕著となる過密期」に移行した。胸高直径連年成長量の平均値と最大値は「巻き枯らし間伐直前のそれら」とほぼ同程度の範囲で推移しているものの、劣勢木割合は巻き枯らし間伐直前より高い割合で推移している。
 
 なお、巻き枯らし間伐後3〜5年目に(巻き枯らし間伐後2年目に比べて)胸高直径連年成長量の平均値が増加したという現象も、統計モデル(共分散分析モデル)によれば有意な増加とは認められないレベルである。つまり、通常間伐が実施された場合の胸高直径成長モデル(サイズ依存成長の一次式の切片が間伐後に高くなるモデル)のような挙動は、当該巻き枯らし間伐林では認められなかった。

2020年10月28日(水)

  • 本日には

 徒歩通勤に一部ノロノロジョグを混ぜてみた。心肺的には全く問題ないものの、昨日感じた左足の疲労感ががっつり残っており、朝の寒さ(気温4度前後)の影響もあってか、短い距離をジョグすると左足の違和感が強まる状態であった。ま、違和感は近日中に消えると予想されるので、明日にはジョグを混ぜないようにしておこう。
 

  • 本日の勤務は7:45-18:25。
  1. 教育:森林計測学実習の外業データ入力およびレポート課題の作成・周知、卒研面談(1名)、データ分析演習の授業と授業記録作成、森林科学応用演習Iへの参加(インターンシップ事後報告のプレゼン拝聴)
  2. 研究:なし
  3. 運営:なし
  4. 貢献:学外委員会対応

授業資料公開:林分密度管理図の使い方

  • 林分密度管理図

1. 林分密度管理図とは
 第11回でも説明したように、空中写真を利用した林分材積計測として、林分密度管理図を活用する手法がある。また、混み合い度指標として、現在でも林分密度管理図による収量比数は使われている。収穫予想表やLYCSよりも古い時期に考案された林分成長モデルであるものの、現在でも有用なので、林分密度管理図について詳しく説明する。岩大生の皆さんは、農学部の前身である盛岡高等農林学校の大先輩(安藤 1968)が開発した林分成長モデルなので、しっかり理解して欲しい。
 
 林分密度管理図とは、成長条件が似た地方で、任意の樹種の人工同齢単純林について、植物個体群の密度理論を応用し、ha当たり林分材積やこれに関連する諸要素との関係を1枚の図にまとめたものである。植物個体群の密度理論とは、日本の植物生態学者らが主体となって構築した、自己間引き、競争−密度効果(収量−密度効果)、自己間引きの2分の3乗則(最多密度曲線)などを指す。国立林業試験場(現在の森林総合研究所)の研究者が中心となって応用研究を進め、安藤(1968)が林分密度管理図として調製した。「これに関連する諸要素」とは本数密度、上層木平均樹高、平均胸高直径などである。収穫表と大きく異なる点として、まず、地位級を分けず、林齢の関数として表現しないことが挙げられる。代わりに、生育段階の指標として上層木平均樹高(または主林木平均樹高)を使用することで、地位指数と林齢が地位指数曲線を介して反映される。次に主林木と副林木を分けないことも収穫表と異なる点である。林分密度管理図には、読み取り用の目盛り線を含めて、たくさんの線が引かれているものの、目盛り線を除くと、5種類の線に区別される:自然枯死線(自然間引線、自己間引き曲線)、等平均樹高線、最多密度曲線、等収量比数曲線、等平均直径線。なお、縦軸、横軸とも対数軸になっていることに留意して使用する必要がある。
 
2. 自然枯死線
 自然枯死線(自然間引線、自己間引き曲線)とは、横軸から立ち上がり、左上方に曲がりながら最多密度曲線に収束する線群である。500本/haまたは1000本/ha毎に描かれる。林分の成長軌跡を表現しており、間伐するたびに別の(左側にある)自然枯死線に乗り換えていく。成長した将来の状態を予測する際には必ず使用する線群である。
 
 植栽密度または現在の本数密度(密度)に対応する自然枯死線がある場合には、その自然枯死線をなぞりながら林分(点)を成長(移動)させる。もし、密度に対応する自然枯死線がない場合には、左右の自然枯死線を見ながら、それらに概ね平行になるようなイメージで上方または左上方に点を移動させる。この場合、目分量となり、読み取りの個人差が生じるので、本数密度やha当たり林分材積の読み取りはそれぞれ100本/ha、10〜20m^3/ha単位で構わない(と割り切る)。なお、しばらく無間伐状態が続くと、やがて最多密度曲線に収束するので、その後は最多密度曲線をなぞりながら点を移動させる。
 
3. 等平均樹高線
 等平均樹高線とは、左側から右上方に向かって引かれている、上に凸の曲線群である。左端に上層木樹高が記載されていることで等平均直径線と区別できる(ものの、初心者にはまぎらわしいようだ)。植物個体群の密度理論で言えば、収量−密度効果の近似曲線に該当する。収量−密度効果は経過時間別に記載されるのに対し、林分密度管理図では、先述のように、生育段階の指標としての上層木平均樹高(または主林木平均樹高)別に記載される。間伐による本数密度とha当たり林分材積の変化の軌跡を表現している。間伐する際には必ず使用する線群である。
 
 間伐を検討する林分(対象林分とする)の上層木平均樹高から使用する等平均樹高線を選び、その線上に対象林分の本数密度と一致する点を落とす。これが間伐前の点である。本数間伐率TRNに基づき間伐するなら、本数密度×(1−TRN/100) により間伐直後の本数密度(間伐後の点)を計算し、等平均樹高線をなぞりながら、間伐前の点から間伐後の点に移動させる。間伐材積(伐倒材積)を推定したいなら、間伐前後の点についてそれぞれha当たり林分材積を縦軸から読み取り、その差を計算すれば良い。材積間伐率TRVに基づき間伐するなら、間伐前の点のha当たり林分材積×(1−TRV/100) により間伐後のha当たり林分材積(間伐後の点)を計算し、等平均樹高線をなぞりながら、間伐前の点から間伐後の点に移動させる。
 
 なお、林分密度管理図を使って間伐を検討する際に留意すべき点が2つある。1つは、間伐種が下層間伐に限られることである。収量−密度効果を応用している旨の説明で納得した人もいる一方で、「なぜ等平均樹高線をなぞって移動させられるのか」と疑問に思う人もいるだろう。下層間伐では林分内で相対的に樹高の低い劣勢木や介在木を主体に(間伐木を)選木する。上層木平均樹高は、当然、上層木の樹高を算術平均した値なので、間伐木に上層木が含まれなければ、間伐の前後で上層木平均樹高は変化しない。これが、「等平均樹高線をなぞって点を移動させる」という使い方の根拠である。しかし、下層間伐であっても、寺崎式B種の間伐であれば、劣勢木や介在木だけでなく、形質の悪い優勢木(暴れ木)や準優勢木(幹曲がり木、二又木など)も一部選木するため、厳密には林分密度管理図における等平均樹高線の前提に一致しない。ここで、滝沢演習林の林齢32年生のスギ人工林(本数223本)を例に試算すると、樹高下位33%の下層木に樹高上位1%の上層木を含めて本数間伐率34%とすると、間伐後の上層木平均樹高が0.1 m低くなる。もし、樹高上位1%でなく樹高上位5%の上層木を含めて本数間伐率38%とすると、間伐後の上層木平均樹高が0.2 m低くなる。このように数%の上層木を含めて間伐する程度であれば、よほどの小面積林分でない限り、間伐前後で上層木平均樹高は変化しないと見なせるだろう。一方で、上層から下層まで選木される列状間伐や、劣勢木と優勢木を選木し、大きさの揃った準優勢木を残す優勢木間伐では、本数間伐率を同じにしても、材積間伐率が下層間伐のそれと大きく異なるため、「(下層間伐に対応する)等平均樹高線をなぞって移動させる」という方法を適用できない。
 
 留意すべき、もう1つは間伐率である。間伐前後で上層木平均樹高は変化しないという前提に対し、本数間伐率40%以上の強度間伐では、上層木が間伐されやすくなるからである。上層木の定義は様々あるものの、林分密度管理図では樹高上位60%以上を上層木とするのが妥当である。実際、安藤(1968)は本数間伐率40%までであれば等平均樹高線に沿った形で点が移動するものの、50%以上では等平均樹高線の傾きよりも大きく移動する傾向にあることを指摘している。滝沢演習林のスギ人工林を例に試算しても、本数間伐率40%(樹高上位数%を含まず)の下層間伐では、間伐後の上層木平均樹高が(本数間伐率33%の場合に比べ)0.1 m高くなるだけであった。しかし、本数間伐率50%の下層間伐では間伐後の上層木平均樹高が0.4 m高くなった。先述した樹高上位数%を含めた間伐(0.2 mの差)よりも影響は大きい。
 
4. 最多密度曲線
 最多密度曲線とは、左側から右下方に向かって引かれている、(両対数軸上の)直線群の最も上の線である。植物個体群の密度理論で言えば、自己間引きの2分の3乗則の近似曲線に対応する。ただし、自己間引きの2分の3乗則は縦軸を平均個体重(平均幹材積)としたときの法則なので、縦軸をha当たり林分材積(=平均幹材積×本数密度)とする林分密度管理図では、最多密度曲線の傾き(ベキ乗)は(本数密度をかけることで−1.5+1.0になるので)−0.5前後になる。
 
「−0.5前後」としたのは、地域や樹種によって傾きが若干異なるからである。林冠閉鎖後、自然枯死が常態化している超過密林分の成長の軌跡を表現している。つまり、最多密度曲線より上に向かって成長し続けることはないという上限の線を表現している(註:ただし、林分密度管理図の調製に使用したデータに最多密度に達した林分データが十分に含まれていない場合、傾きや切片が正確に推定されなくなる。この場合、最多密度曲線の少し上付近に点が落ちる場合もある)。無間伐林(もしくは長期間、無間伐状態で推移させる林分)の成長を予測する際に使用する線である。換言すれば、定期的に間伐する林分では、最多密度曲線を使って予測することはない。
 
5. 等収量比数曲線
 等収量比数曲線とは、左側から右下方に向かって引かれている、(両対数軸上の)直線群のうち、最多密度曲線を除いた直線群である。最多密度曲線と平行な直線群であり、右端に収量比数(0.9以下)が記載されている。収量比数Ryとは、同じ等平均樹高線上にあるha当たり最多林分材積Vfに対するha当たり林分材積Vの比Ry=V/Vfである。Ryは0(無立木状態)から1(最多材積)までの値をとる。こうして求めたRyについて、林分密度管理図上で同一Ryの点をつないだのが等収量比数曲線である。Ryが0.8以上で高密(要間伐)、0.7以上で中庸、0.6以上で疎、0.5以上で極疎となるので、密仕立の保育形式ならRyが0.8〜0.9、中庸仕立なら0.7〜0.8、疎仕立なら0.6〜0.7、極疎仕立なら0.5〜0.6の間で密度管理すれば良い(安藤 1968)。間伐率ではなく、保育形式(密仕立、中庸仕立、疎仕立、極疎仕立)と対応づけて間伐を検討したいときに参照する線群である。
 
 間伐を検討する林分(対象林分とする)の上層木平均樹高から使用する等平均樹高線を選び、その線上に対象林分の本数密度と一致する点を落とす。ここまでは間伐率に基づく間伐検討と同じである。次に、対象林分のRyを読み取る。仮にRyが0.92だったとして、対象林分を中庸仕立の保育形式で管理したいなら、間伐後のRy(点)を0.7〜0.8の間で決め、等平均樹高線をなぞりながら、間伐前の点から間伐後の点に移動させる。スギ人工林の場合、Ry0.8は自然枯死が発生し始める高密状態を、Ry0.9は自然枯死の顕著な過密状態を意味するので、間伐効果(樹冠幅や胸高直径の成長促進)を期待するなら、できるだけ0.7に近づける。なお、Ryが0.92の過密林分を一回の間伐でRy0.6以下にしようとすれば、本数間伐率が40%を超える可能性が高い。ゆえに、Ryに基づく間伐検討であっても、間伐前後でRyを0.2以上減少させる場合には、本数密度の減少割合(40%以上減っていないか)も確認する必要がある。
 
6. 等平均直径線
 等平均直径線とは、左側から右上方に向かって引かれている、下に凸の曲線群である。右端に平均胸高直径が記載されていることで等平均樹高線と区別できる(ものの、やはり、初心者にはまぎらわしいようだ)。等平均直径線は、植物個体群の密度理論と何ら関連しない。間伐直後あるいは成長した林分の平均胸高直径を推定したいときに参照する線群である。換言すれば、平均胸高直径を知る必要がない場合には無視して構わない。なお、日林協が販売する林分密度管理図では、平均胸高直径が記載されているはずだが、安藤(1968)が調製した初期の林分密度管理図では、断面積平均直径が記載されている。平均胸高直径をD、胸高直径の変動係数(=標準偏差/算術平均)をc、断面積平均直径をDqとすると、Dq=D √(1+c^2 )であり、人工林における断面積平均直径は平均胸高直径よりわずかに(1.0〜1.10倍)大きい。ゆえに、林分密度管理図を使って平均胸高直径を推定したいなら、使用する林分密度管理図の取扱説明書を確認し、どちらが記載されているのかを確認した方が良い。
 
 林分密度管理図上に落とした点が任意の等平均直径線の上にある場合には、その右端に記載された値が平均胸高直径(または断面積平均直径)である。もし、任意の等平均直径線上でない位置に点が落ちる場合、上下の等平均直径線との位置関係から、目分量で0.2〜0.5 cm単位で読み取れば良い(と割り切る)。林分密度管理図を用いた演習では、学生さんによる読み取りミスが多く生じるので、右端に記載された値を(上下のものと)読み間違ったり、あるいは等平均樹高線と混同しないように注意することが必要である。
 
7. 使用に関する補足
 林分密度管理図を使用するにあたっての主な留意点は先述のとおりであるが、ここで、典型的な使用例を提示する。架空林分について「植栽密度3500本/haで造成した林分について、上層木平均樹高10 mで初回間伐を実施し、700本/ha分を間伐した。その後、上層木平均樹高14 mまで間伐せずに育てたとき、ha当たり林分材積はいくらか」という検討をしたいとする。このとき、まず、3500本/haから立ち上がる自然枯死線があるかを確認し、あるならば、それをなぞりながら10 mの等平均樹高線と交わる点まで移動させる。3500本/haから立ち上がる自然枯死線がないなら、左右(3000本と4000本/ha)の自然枯死線を見ながら、それらに概ね平行になるようなイメージで上方に点を移動させ、10 mの等平均樹高線との交点を目分量で決める。次に、10 mの等平均樹高線上の交点について本数密度を読み取り、それから700本/haを引いた値を間伐後の点とする。そして、10 mの等平均樹高線をなぞりながら間伐後の点まで移動させる。さらに、間伐後の点から14 mの等平均樹高線まで上方(左上方)に点を移動させる。10 mの等平均樹高線にある間伐後の点が自然枯死線上にあるなら、その自然枯死線をなぞりながら14 mの等平均樹高線と交わる点まで移動させる。間伐後の点が自然枯死線上にないなら、最初の手順と同様に、左右の自然枯死線を見ながら、目分量で14 mの等平均樹高線まで点を移動させる。最後に、14 mの等平均樹高線との交点について縦軸の目盛りを読み取り、ha当たり林分材積を推定する。
 
 追加すべき使用上の留意点として、第1に、林分密度管理図を使用する際には、できるだけコピーを使用した方が良い。演習では書き込みを躊躇する学生さんがいるが、どうしても過失が生じやすくなる。コピーであれば、任意の線や点をマーキングしたり、メモ書きしても、次回以降の使用で支障にならないからである(授業資料として綺麗なものを保管したいなら、教員に要求すれば良い)。また、拡大コピーを使えば、目が多少疲れにくくなる。第2に、読み取りを容易にするため、30 cm定規や下敷きを使うと良い。注意しているつもりでも、目が疲れてくると、(等平均樹高線などの)隣の線、あるいは異なる種類の線と混同しやすくなるからである。第3に、電卓(スマホで良い)を準備しておく。使用目的(演習課題)によっては、何度も簡単な計算(引き算や割り算)をするからである。
 
 「等平均直径線を使って予測できるか」という質問を稀に受けることがある。目標平均胸高直径を読み取るために等平均直径線を使うことはあっても、自然枯死線や等平均樹高線のように、等平均直径線をなぞって何らかの予測をすることはできない。植物個体群の密度理論と何ら関連しない線群であり、平均胸高直径を読み取りたいときのみに参照する線群であることを再確認して欲しい。
 
 老齢林には林分密度管理図を適用できないと指摘されることがある。確かに、等平均樹高線が描かれてない上層木平均樹高まで成長すれば、林分密度管理図上で間伐を検討することはできない。また、樹高成長が停止したり,樹冠形が変化し,等平均樹高線での推定誤差が大きくなる可能性も指摘されている。林分密度管理図の調製に使用された老齢林データはほとんど(または全く)ないので、これも妥当な指摘である。ただ、老齢林になれば、そもそも本数密度は低い。滝沢演習林のスギ高齢学術参考林(原則として禁伐林)における2009年データ(林齢164年生)によれば、相対幹距14.7%と高密状態であるものの、本数密度は343本/haである。この本数であれば、間伐を検討するにしても、現地で目視しながら間伐木を選定すれば良い。すなわち、老齢林は基本的に密度管理ではなく、将来木施業などのように、個体管理する生育段階に達している。このように考えれば、老齢林に対して無理に林分密度管理図を適用する必要はないとも言える。
 
 林分密度管理図を使って、上層木平均樹高(等平均樹高線)と本数密度から推定したha当たり材積の相対偏差は概ね20%以内とされている。等平均樹高線は、縦軸方向(ha当たり林分材積)にばらつきのあるデータを近似した線であり(安藤 1968)、多少の誤差が生じるのは当然である。ゆえに、何らかの目的で、現実の林分について、林分密度管理図を使って上層木平均樹高と本数密度からha当たり材積を推定したいなら、胸高直径も実測した上で補正すれば良い。林分密度管理図で推定したha当たり林分材積と平均胸高直径をそれぞれV、D、実測した平均胸高直径をDaとすると、修正したha当たり林分材積をV×Da/D、またはV×(Da/D)^2で推定すれば良い。こうした修正により、相対偏差は概ね10%以内になる。ただし、これも収穫表の場合と同様に、当該林分の上層木平均樹高、本数密度、胸高直径の計測値が得られているなら、林分密度管理図を使わなくても、林分形数か、林分材積公式を使って林分材積を計算すれば良い。この修正法を使う場面は少なく、特に便利ではない。