- 27年間測定し続けている
スギ若齢林固定試験地の場合,樹高(の間接)測定(=三角比に基づく高さ測定)にあたり,水平距離と仰角(と俯角)を決定するために1本当たり40歩,つまり片道20歩ほど移動する。0.8m/歩とすれば斜距離16mに過ぎないものの,斜面を登っていけば,これでも仰角45度前後(±5度)に収めることができる。
一方,今年取り組んでいる林齢110年を超えるスギ高齢林の場合,片道20歩では仰角が大きくなり過ぎるため,25〜40歩移動するようにしている。斜距離に換算すると20〜32mであり,平坦地で仰角50度なら25〜40mの樹高木を測定できるからである(註:スギ高齢林の多くは30〜35mの樹高木)。
仮に60本あるスギ高齢林の場合,片道30歩,30本/時の測定で移動するとすれば,平均時速1.4 kmでの歩行(2.8 kmの移動)ということになる。平均速度にしても距離にしても大した運動負荷ではないものの,実際には下層植生を掻い潜ったり,転倒を避けながら倒木や残材を踏み越えたりするので,平坦な道路を3 km移動するよりは運動負荷は高い(註:斜面ではさらに負荷が高くなる)。そもそも(林床植生に隠れて見えない)倒木で筋挫傷になるような50代のおっさんなので,連日安全に調査できるよう,一日1林分のペースで調査するようにしている。物足りなさを感じることも少なくないものの,怪我すると回復に時間を要するので,若くないと諦める次第である。