森林動態制御研(國崎研)

2024年度から勤務28年目です。

2024年5月19日(日)

  • 本日のウォーキング時の風景



 

  • ここ1年ちょっとで読んだ

 大学本についての感想を(註:他にも,他分野から大学教員になった方の本も読んだものの,(持論ではなく)「自論」が展開されており,ほとんど同意できず,速攻で廃棄したため,ここでは取り上げることはできない)。
 

  • 田中圭太郎(2023)「ルポ 大学崩壊」ちくま新書

 「大学で起きている問題について取材したルポ」ということで,具体的な大学名とともに紹介されている。主要参考文献も明記されており,問題を他山の石として謙虚に受け止める機会を得られ,大変有益だったと思う。
 

  • 倉部史記・若林杏樹(2023)「大学職員のリアル」中公新書ラクレ

 主要参考文献は明記されていないものの,丁寧に取材されており,私の狭い範囲での経験(地方国立大学での経験)と概ね矛盾なく理解できる内容であった。職員さんならではのご活躍を再認識でき,こちらも大変有益だったと思う。
 

  • 高部大問(2024)「ファスト・カレッジ」小学館新書

 主要参考文献は明記されておらず,私の狭い範囲での経験(地方国立大学での経験)とあまり一致しない内容であった。確かに,不可思議な言動をされる大学教員が少なからずいらっしゃることには同意するものの,著者が勤務される大学あるいは状況を知り得た大学の任意の事例,教員の事例を過度に一般化して「大学」,「学生」,「教員」として断じる文章には違和感が強い。全員がそうではない旨の但し書きはたまに記載されるものの,いかなる標本に基づく主張なのかは不明であり,一読では少なからず誤読するような構成,表現になっていると受け止めている。つまり,私の違和感は編集上のテクニック(エッジをつける,盛る,認知的不協和)に由来するものと誤解しておきたい。ただ,大学全てが実験室,追加料金不要の学び,教員への質問攻め,シラバスの活用といった最終章での主張は,私が日頃関与するプログラムの学生さん達に話していることと矛盾しておらず,「大学とはきっかけを与えてもらったら,後は自分で自分を育てる癖をつける場」という(私の)持論からみても,至極妥当だと思う。
 
 いずれにしても,良くも悪くも大学に注目して論じてもらえるのは有り難いことであり,今後もお務めとして大学本を見つけたら読んでいきたい。